【注意】
この話はいろいろと崩壊しています。
読むにはそれなりの覚悟を持って読んでください。
気分を悪くされても責任は取りませんのであしからず。
大丈夫な方はどうぞ。
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閃光の鬼嫁
神聖ブリタニア帝国第98代皇帝、シャルル・ジ・ブリタニアは、自らの持つ威厳やら何やらを全て捨て去り、コソコソと宮廷を出ようとしていた。
何故コソコソと宮廷を出ようとしているのだろうか?
皇帝なのだから、堂々と宮廷を出て行けばいいのに。
そう思ってしまうのは仕方がないのだが、シャルルにはこうしなければならない理由があるのだ。
(は、早くこの宮廷を抜け出さなくては――――)
何個もある超ロングなトイレットペーパーの様な巻紙をゆっさゆっさ揺らしながら、シャルルは周囲の様子を伺う。
周囲には誰もおらず、シャルルはそのドデカイ図体に合わない、俊敏な速度で走る。
(は、早く!! 早く抜け出さなくては!!)
普段なら威厳バリバリのおっかない顔が、今では情けない程に泣きそうな顔である。
額から流れる大量の汗を拭うことなく、シャルルは走る。
しばらく走っていると、ふと、前方に光が見えた。
宮廷で働く使用人達が使う裏口だ。
シャルルの顔に、希望が宿った。
(さらば恐怖!! 今行くぞ、我が安らぎぃ!!)
ゴールまで後少し。
しかし、シャルルはゴールに辿り着くことは出来ず、再び情けない程に泣きそうな顔になるのである。
「どこへ行くのかしら、アナタ?」
背後から聞こえる女性の声。
その声に、シャルルはピシリと動きを止め、やっと浮かんだ希望に溢れた表情は、一気に絶望に突き落とされた。
コツコツ、と声の主が近づいてくる。
それと同時に、シャルルの首が、ギギギギギ……、と後ろへ向く。
「ねぇ、アナタ。どこへ行くのって聞いてるの」
近付いて来る声の主、シャルルの何番目かの妻、マリアンヌ・ヴィ・ブリタニアが再び言った。
まさかのマリアンヌの登場に、シャルルは開いた口が塞がらない。
「ほ、他のつみゃ達の様子を、見に行きょうと、思っちぇだな」
シャルルはなんとか答えるものの、あまりの緊張に噛み噛みだった。
哀れ皇帝。
そんなんじゃ、国民に示しがつかないぞ!!
「そう、だったら堂々と正面から出ればいいじゃない。裏口からコソコソと」
「う、裏口を通ってみたくなった――――」
「黙れ、トイレットペーパー。子供の言い訳じゃあるまいし」
「と、トイレット――――」
国民が見たらほぼ全員がうっとりとしてしまいそうな笑みを浮かべながら、マリアンヌは毒を吐く。
もちろん目は笑ってなどいない。
もうお察しだと思われるが、シャルルがコソコソと宮廷を抜け出そうとしていた理由は、このマリアンヌである。
人前では八方美人なマリアンヌだが、シャルルと2人になるとその仮面を外し、ねちねちねちねちとシャルルを罵る。
掃除をさせられては埃が残っていると言われ、料理を作らされてもこんなもの食えるかとちゃぶ台返しされ、何をやっても罵られるシャルルの胃は、とうに限界を迎えていた。
何とか逃げ出そうと威厳も何も捨て去り、コソコソと宮廷から逃げようとしたのだが、これである。
ドンマイ、皇帝。
「た、頼むマリアンヌ!! 今日だけは!! 今日だけは外に出させてくれ!!」
シャルルは土下座をし、マリアンヌに許しを請う。
しかしマリアンヌは、
「うるさいわね、尻拭き紙の分際で!! さっき本棚倒したり窓割ったりベッドひっくり返したりで部屋が汚れてるの。さっさと掃除しなさいよ!!」
自分で散らかしたのに何故ワシが!?
シャルルは心の中で思った。
声に出さない理由は、出したらただじゃすまないからである。
「ほら、さっさと行くわよ。ルルーシュとナナリーがコーネリアの所から帰ってくるまでには片付けないといけないんだから」
どう考えても無理である。
マリアンヌはシャルルの巻紙……巻き髪を掴み、皇帝をズルズルと引きずっていく。
「「頑張れシャルル」」
今までどこにいたのか、C.C.とV.V.が涙を流しながら手を振っている。
「た、助けてくれ兄さん!! C.C.!!」
ズルズルと引きずられていく皇帝シャルル。
頑張れシャルル。
負けるなシャルル。
オールハイルブリタニア!!
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