狂人を崇める少年
― 3 ―
カリブ海に浮かぶ多数の島々。
それらのほとんどが富豪の別荘地となっている。
そのうちの1つは(表向きは)ベン=ジェラードという人物が所有する島である。
その島に、エルクと他2名を乗せたヘリが舞い降りた。
ドアが開き、エルクは真っ先に飛び出す。
向かうはへリポートの傍に立っている4人の人物、頭を変な布で覆った人物、東洋の力士を思わせる丸眉毛、白衣を着た何だかヤブ医者っぽい男、そして、混沌とした瞳を持つ銀髪の男のもと。
「クリード!!」
エルクは混沌とした瞳を持つ銀髪の男、クリード=ディスケンスに抱きついた。
「久しぶりだね、エルク。元気にしてたかい?」
「うん!!」
クリードの問いに、エルクはまるで幼子が浮かべるような純粋な笑顔を浮かべて返事をする。
その笑顔につられ、普段は狂気に満ちた笑みしか浮かべないクリードも優しげな笑みを浮かべる。
これから世界に対して革命を起こそうとしているクリードであるが、エルクの前では優しいお兄ちゃんなのだった。
周りの者たちは皆、そんなエルクとクリードを見て、内心ほんわかとしていた。
ただ1人を除いては。
(ぼ、僕のエルクが!!)
そんな薔薇色発言を脳内でしているのはさきほどエルクと一緒に来たリオンだった。
あぁ、ぶっちゃけどうでもいい。
「ほら、エルク。シキとマロにも挨拶をしなさい」
「うん!! 久しぶり!! シキ、マロ!!」
「おう、久しぶりだな」
「……元気そうでなによりだ」
先に答えたのがまるで東洋の力士を思わせる丸眉毛のマロ。
次に答えたのが頭を変な布で覆ったシキだった。
2人は続けて呼ばれると、実際にいそうな平安貴族みたいでやだなぁ……、なんて思ったが、相手がエルクなので問題なかった。
「エルク、ひさし――――」
「他のメンバーも来たようだね」
白衣を着た何だかヤブ医者っぽい男、ドクターがエルクに挨拶をしようとするも、丁度来た2機のヘリとクリードの言葉に遮られてしまった。
ちなみに、ドクターはエルクラブなのだが、全くと言っていい程相手にされていない。
更にちなみに、ドクターの本名はカンザキコウスケというらしいが、誰もその名前では呼んでくれない寂しい人なのだった。
「着いたわ、クリード」
2機のヘリから降りてきたのは、3人の人物。
東洋の国、ジパングの現役女子高生、キリサキキョウコ。
黒いハットがトレードマーク、シャルデン=フランベルク。
世界的大女優、エキドナ=パラス。
「――――さて、皆集まったね」
クリードが先程までの優しい笑みを消し、狂気に満ちた笑みを浮かべ言った。
同時に、ほんわかしていた雰囲気が、一瞬にして消え去る。
「ようこそ星の使徒同士諸君」
クリードが両手を大きく広げ、静かに言った。
「さぁ、革命戦争を始めよう――――!!」
この腐りきった世界を壊す、革命を――――
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